犬の引っ張り癖を直す方法(力に頼らないリードトレーニング)

晴れた日の小道で、リードをゆるませたまま飼い主の横を落ち着いて歩く犬
この記事のイメージとしてAIで生成した画像です。

散歩というより「引きずられている」ような気がする——そう感じているのは、あなただけではありません。引っ張り癖は、トレーナーのところに持ちこまれる相談の中でもいちばん多いもののひとつです。

うれしいことに、犬は「主導権をにぎりたいから」でも「頑固だから」でも引っ張っていません。なぜそうなるのかがわかれば、直し方は穏やかで、力もいらず、次の散歩から始められます。

どうしてリードを引っ張るの?

引っ張りは「悪い行動」ではありません。犬にとっては、この世でいちばん自然なことです。理由はいくつかあります。

  • 外の世界が楽しくて、早くそこへ行きたい。 においも、よその犬も、あの電柱も。犬はただ、行きたい場所へ、人の歩く速さより速く進んでいるだけです。
  • 引っ張ると、うまくいくから。 ここがいちばん大事です。引っ張ったときに散歩がそのまま同じ方向へ進めば、犬は「引っ張れば行きたいところへ行ける」と学びます。ほとんどの散歩で、その行動にごほうびが与えられているのです。
  • 押されると押し返す反射。 犬には、圧に対して押し返そうとする本能があります。リードが張ると、体は自然とそちらへ傾く。つまり、張ったリードそのものが引っ張りを助長しているのです。
  • エネルギーが余っている。 体も頭も十分に使えていない犬は、ばねのように縮こまったまま外へ出ることになります。

覚えておきたいのはこれだけです。張ったリードは引っ張りを教え、ゆるんだリードは落ち着いた歩き方を教える。 以下のすべては、この一点の上に成り立っています。

用意するもの

きつい道具は必要ありません。というより、チョークチェーン、プロングカラー、電気ショックの首輪は逆効果で、犬を傷つけることもあります。用意するのはこれだけです。

  • 体に合ったハーネス(力の強い犬なら、胸側にリードをつけるタイプだと方向を変えやすくなります)。
  • 1.2〜1.8mの普通のリード。伸縮リードは「引っ張れば行動範囲が広がる」と教えてしまうので避けます。
  • 小さくてやわらかい、特別なおやつ。愛犬が夢中になるものを、ポーチに入れて。
  • 根気。 これまで何百回もごほうびをもらってきた習慣を書きかえる作業です。変化は「分」ではなく「散歩の回数」で進みます。

基本の考え方:ゆるめば進む、張れば止まる

ゆるいリードで歩けるようにするには、犬がすでに学んでしまったルールをひっくり返します。いまは「引っ張れば前に進める」。これをにします。

  1. 退屈な場所から始める。 リビング、廊下、庭など、気が散らないところで。ご近所でいちばんにぎやかな道から始めてはいけません。
  2. してほしい位置にごほうびを。 犬が横にいて、リードがJ字にたるんでいるとき、その瞬間に「よし!」(またはクリッカー)で合図して、自分の足のそばでおやつをあげます。正しい場所にいることに対して支払うのです。
  3. リードが張った瞬間に止まる。 「木」になりましょう。何も言わず、完全に立ち止まります。散歩が再開するのは、リードがまたゆるんだときだけです。
  4. ゆるんだら、進む。 犬が力をゆるめたら——こちらを振り返っただけでもかまいません——合図してごほうびをあげ、歩き出します。「前に進めること」自体が、ゆるいリードへのごほうびになります。
  5. 少しずつ現実の場面へ。 家の中でできるようになったら庭へ、次に静かな道へ、それからにぎやかな場所へ。環境が変わるたびに難しくなるので、ひとつ前の段階に戻るつもりで進めましょう。

飲みこみの早い犬には、「木」の意味をもっとはっきりさせる2つのやり方もあります。

  • 方向転換。 リードが張ったら、止まるかわりに落ち着いて反対方向へ歩き出します。「引っ張ると、楽しいものから遠ざかる」と学びます。
  • おやつで呼び戻す。 ひざのあたりにおやつを持ち、元の位置まで誘導してごほうびをあげ、そのまま歩き続けます。

続けられるかどうかが、いちばんの分かれ道

このトレーニングが止まってしまういちばんの理由は、やり方がその日によって変わることです。3回に1回でも引っ張りが通ってしまえば、犬は試し続けます。ときどきしかもらえないごほうびは、いちばん強く行動を残すのです。

つまり、「今日は急いでいるから」と公園まで引っぱらせてはいけません。本当に時間がない日は、胸側にリードをつけるハーネスで散歩を切り抜けて、トレーニングは落ち着いてできる日にとっておく。引っ張りが通る経験だけは、させないようにします。

においをかぐ時間も忘れずに

散歩はA地点からB地点へ移動することだけではありません。犬にとっては、鼻でその日の「新聞」を読む時間でもあります。においをかがせてもらえない犬は欲求不満になり、もっと強く引っ張ります。

だから、においをかぐ時間もルールに組みこみましょう。「かいでおいで」のような合図を決めて、自由に確かめてよい時間にする。これ自体がすばらしいごほうびになります。ゆるいリードで歩けば、においをかぐ自由が手に入る。どちらにとっても得です。

うまくいかないときの見直し表

困っていること起きていそうなこと試すこと
家ではできるのに外だとだめ気の散る環境に、まだ早すぎるひとつやさしい場所に戻して、ゆっくり積み上げる
止まった直後にまた飛び出すおやつが、まわりの魅力に勝てていないもっと価値の高いごほうびに変える。刺激からの距離をとる
散歩の出だしがいちばんひどいエネルギーと興奮がたまりすぎている出発前に1分、落ち着いて集中する遊びをはさむ
行きは平気、帰り道はずっと引っ張る家に帰ることが、散歩より魅力的でない帰り道にも楽しみを。においをかがせる、おやつ、ほめ言葉

犬にも、自分にも根気強く

ゆるいリードで歩くのは、実は教えるのが難しいスキルのひとつです。気の散るものはそこら中にありますし、習慣も根深いからです。一晩で変わるものではなく、短い練習を数週間続けるつもりでいてください。

最初のうちは散歩を短くして、成功した気分のまま終わらせましょう。小さな進歩をよろこんでください。リードがゆるんだまま3歩歩けたら、それは立派な進歩です。

そして、引っ張りに対して引き戻したり、ショックを与えたり、罰したりは絶対にしないでください。信頼が壊れ、犬の首を痛める危険もあり、散歩がおたがいにとって憂うつな時間になってしまいます。落ち着いて続けるほうが、力よりいつも強いのです。

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